パコの世界お散歩日記

旅と写真と山歩きを愛する私のフォト日記。トランピング(NZ流お散歩トレッキング)しながら世界を旅した記録を写真と共にお届けします。「自分らしく、心地よく」生きるトランピングライフを追求しています♪

ニュージーランドでトランピング 3泊4日ミルフォードトラックを個人で歩く ~概要と準備~

こんにちは パコです^^

 ニュージーランドでワーキングホリデーも1か月以上が過ぎ、季節は春真っ只中。つまり山歩きのハイシーズンが到来です(*´ω`*)

この頃から私はいよいよ忙しくなってきました。
なぜなら、約2週間後には夢にまで見た「ミルフォードトラック」に出発するからです!!

 

ミルフォードトラックとは?

概要 

 ニュージーランドの南島、世界遺産にも登録されているフィヨルドランド国立公園」の一部になっている「ミルフォードトラック」、「世界一の散歩道」と称されるほどその景観が美しいということで知られています。原生林や氷河に削られた壮大な渓谷、いくつもの川や滝、そしてパノラミックな山々。数あるトランピングコースの中でも特に変化に富んだ美しい景観は、「世界一」の名にふさわしいとされています。
フィヨルドランド国立公園は、ミルフォードサウンドやダウトフルサウンドを含む約121万ヘクタールのニュージーランド最大の国立公園。南島西海岸に切り込まれた多くのフィヨルド地形に由来し、氷河が削ったU字谷や海からそそり立つ急な山々が特徴で、その深い原生林は希少な国鳥キウィやタカへの住みかにもなっています。年間7000㎜を超えると言われる降水量もこの豊かな自然を育む要因となっています。
私はニュージーランドでしたいことリストのナンバーワンに「ミルフォードトラックを個人で歩く」ことを決めていました。
だって、世界遺産の山を歩けるだけでも尊いのに、「お散歩」が世界一って、すごくないですか?
「登山」が有名で素晴らしい場所は世界中にたくさんあるけれど、「お散歩」が素晴らしいというその響き。日本にも、四国のお遍路や熊野古道、海外にもキリスト教大巡礼地のサンティアゴ・デ・コンポステーラなど「お散歩」の類で名高い場所はたくさんありますが、このニュージーランドのミルフォードトラックは、「世界一」の散歩道なのです。このブログのタイトルにもあるように「お散歩」好きな私にとって、行かない手はありません。

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ニュージーランドには国中に数々のトランピングコースが配置されていて、国の環境省DOCによって管理保護されていることは以前も書いたとおりですが、このミルフォードトラックは、その中でも「グレートウォーク」と呼ばれ特に素晴らしいと位置づけられている9つのコースのひとつになります。

ミルフォードトラックは、ミルフォードサウンドとテ・アナウダウンズを結ぶ全長53.5km3泊4日をかけて大自然の中を歩く初級~中級者向けのコースになります。山歩きのシーズンは10月から4月までで、このトラックを歩くには個人ウォーク(Independent walk)とガイド付きウォーク(Gaided walk)があります。
グレートウォークの中でも一番人気のミルフォードトラックですが、このコースは自然保護の観点から入山制限が特に厳しく設けられていて、個人ウォークでは1日40人しか入山できないことになっています。厳密に言えば入山の予約をするのではなくて、全行程3泊の山小屋を予約しなければならない(全ての山小屋が40ベッド限定)ということになります。そのためハイシーズンでは予約殺到となり、かなり前からDOCのサイトで空き状況を見ておく必要があります。

地図では以下のあたりになります。このグレードワーフ(Glade Wharf)がトラックのスタート地点ですが、ここに来るにはテ・アナウダウンズから予約していたフェリーに乗らなければなりません。テ・アナウダウンズはテ・アナウから27km北上した場所になり、テ・アナウのDOCでチケットの受け取りをした後ここへバスか車で来ることになります。
トランピング終了した後も最終地点「サンドフライポイント」からはフェリーで対岸まで行き、そこからバスで帰ることになります。
つまりミルフォードトラックは、トラックの最初と最後にはフェリーでしかアクセス出来ず、いわば陸の孤島状態です。

コースについて

ミルフォードトラックのコースは以下の図にあるように、Glade Wharf からサンドフライポイントまで3つの山小屋に泊まりながら歩きます。ほぼ一方通行でところどころに目印があるので、個人ウォークでも迷うことはほぼありません。ところどころに川や湖、シェルターなど休憩ポイントもあります。山小屋に近づいてくるとDOCの看板が出てきますので、そこでだいたいゴールまでの距離を測ることができます。ちなみに行程中ほぼ電波は繋がりませんでした。f:id:trampinglife:20200601180403j:plain

高低差は下の図に示されるとおりです。

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高低差は全体的には平坦な道のりですが、3日目のマッキンノンパスに行くところだけ山を登り続けることになります。そのあとのニュージーランド最大の滝、サザーランド・フォールズまでがこのトラックのハイライトです。

・1日目は船を降りてから平坦な道を1時間半ほど、およそ5キロの道のりになります。宿泊はクリントンハット(Clinton Hut)です。

・2日目は6時間ほどの行程になり、16.5キロの道のりです。宿泊はミンタロハット(Mintaro Hut)です。

・3日目はこのトラックの山頂、マッキンノンパスを目指す6~7時間14キロの道のりです。宿泊はダンプリンハット(Dumpling Hut)です。

・4日目はほぼなだらかな6時間18キロの道のりです。サンドフライポイントに着いたら船に乗り、対岸のミルフォードサウンドまで行って終了となります。

個人ウォークとガイドウォーク 

このトラックは個人旅行とツアー旅行で行くことが出来、個人ウォークはそのまま個人で歩くものです。3泊4日の山小屋がとれていれば参加でき、行程中の食料や装備などはもちろん自分で用意することになります。山小屋にはガスコンロや水道、トイレやマットレスなど最低限のものが用意されています。明かりは乏しいので、ヘッドランプの用意は必須です。
ガイドウォークであれば、全ての食事とガイド付きで、寝具やシャワーまでついて身軽で快適に過ごすことが出来ます。個人ウォークの山小屋からすると「素晴らしい」ロッジに宿泊することができるのですが、費用が5倍くらいします。(^^;
せっかくなら私はワイルドにいきたかったので(笑)個人で行くことにしました。費用の面もありますが、どうせ数日なら世界中の旅人たちと狭い山小屋で汗まみれの濃い時間を過ごしてみたかったのです。

また、このミルフォードトラックの山小屋は、一度泊まった宿にまた泊まることは出来ず、毎日完全入れ替わり制です。つまり、山に足を踏み入れた瞬間から全く同じメンバーと3泊4日をともにするということ。最初は見知らぬ人同士でも、一日の終わりには同じ山小屋で必ず顔を合わせるので、何日もそれを繰り返していると知らないうちに仲間意識のようなものが芽生えるのです。ところどころの休憩所では声を掛け合ったり、山小屋でも一緒に遊んだり話したり。最終日に船着き場で交わす挨拶には、冒険をともにした者同士の何とも言えない寂しさや達成感があります。そんな関係もまた、この個人ウォークの魅力かもしれません。
とは言っても現実は、何度かガイドウォークの山小屋を横目に私たちは個人ウォークの簡素な山小屋を目指したのですが、その快適そうな姿に涙をこらえたのは一度ではありませんでしたが。笑

ただ、その経験と引き換えにといいますか、個人で行くには自分で手配しなければいけないことがたくさんあります。3泊分の山小屋は日本出国前から予約はしていたのですが、その他は現地で情報収集をしながら決めていこうと思っていたので、その対応にかなり追われていました。しかも結構直前だったので(入国してからは学校や家探しや銀行開設やらでバタバタで!)準備が大変だったのですが、そこも山男タカさんのアドバイスもあり、なんとか間に合わせることができました。(;´∀`)

より詳しい情報、予約についてはDOCのページでご確認ください。
注)現在、現地で2月に起きた災害によって予約を一時中止しているようです。7月頃から来シーズンの予約再開の見込みだそうなので、都度確認をお願いします。

www.doc.govt.nz

現地で決めたことや準備

山小屋の予約は出国前に

 まず必須なのは3泊4日の山小屋(ハット)の予約。これはなかなか直前ではとれないので、出国前に抑えておきましょう。

www.doc.govt.nz

ここでは出発日を決めれば自動的に残りの日程も選択されるようになっており、同時に行き帰りのフェリーも予約されます。フェリーは時間を選択出来るので、自分の歩くペースなど考慮して決めると良いでしょう。ちなみに帰りの船は早すぎても焦りますが、遅すぎても無駄に待っていなければならないことになります。最終日の船着き場が「サンドフライポイント」という場所で、その名のとおり「ものすごい」量のサンドフライがいます。2~3ミリのブヨの仲間と言われる小さな虫ですが、これがミルフォードトラックには半端なくいて、刺されるとものすごい痒いのです。私は日本にいる時から蚊に刺されやすい体質で、この時もここぞとばかりに刺されました。最終日のサンドフライポイントでの時間をなるべく短くするためにも、時間は遅すぎないことをおすすめします。

行き帰りの交通手段

 ミルフォードトラックでは、先に書いたように完全な一方通行になり、スタート地点とゴール地点が異なります。そのため行きはテ・アナウからテ・アナウ・ダウンズまでバスに乗り、帰りはミルフォードサウンドからバスに乗らなければなりません。

 DOCで山小屋を予約するときにバスも予約することが出来るのですが、私は日本を発つだいぶ前にミルフォードトラックの予約を入れていたので、実際その時にどこで何をしているか予想が出来なかったため、交通手段に関しては現地で決めようとしていたのです。
で、クイーンズタウンから出発することになったので、行きはクイーンズタウン→テアナウダウンズ、帰りはミルフォードサウンドクイーンズタウンのバスを予約することになりました。

私が行きのバスで使ったのが「トラックネット」というバス。このバス会社は、10月から4月にかけてのグレート・ウォークシーズン期間、ニュージーランド南島南部地域の最も美しいエリアを結ぶバスを毎日運行しています。(冬季も便数を減らして運行しています。)ミルフォードサウンド、テ・アナウ、ルートバーントラック、ケプラートラックなど、ニュージーランドを代表する主力級のトラックへのアクセスに強いバス会社です。

www.tracknet.net

このバスを利用すると、クイーンズタウンからテ・アナウのDOCまで行き、15分間のインターバルを挟んでテ・アナウダウンズまで乗せて行ってくれます。先に予約していた山小屋のチケットをテ・アナウのDOCで受け取る必要があるため、その都合上このバスはとても便利です。テ・アナウに前日入りしてチケットを受け取っている人は翌日にテ・アナウからテ・アナウダウンズまでバスで行くという方法もあります。
山小屋のチケットは二日前から当日の朝までテ・アナウのDOCで受け取りが可能なので、私は当日入りしてチケットを引き取ることにしました。
このバスで行くとテ・アナウでの時間を含めておよそ2時間半でクイーンズタウンからテ・アナウダウンズまで行けました。
その後いよいよフェリーに乗り込み、ミルフォードトラックの入口、グレードワーフ(Glade Wharf)まで行くことになります。

また、帰りのバスはインターシティというバスを利用しました。このバス会社は国中の長距離移動に非常に便利で、滞在中何度も使いました。ミルフォードサウンドからクイーンズタウンまではおよそ4時間半の旅でした。(https://www.intercity.co.nz/

帰りのバス乗り場はこのあたりです。

 

最終日の宿泊地

 ミルフォードトラックが終わって最終日の夜、どうするかを決めなければなりません。多くの人はサンドフライポイント発のフェリーの時間を14時または15時にするのですが、そこからミルフォードサウンドの船着き場までは30分くらいなので、当日中に帰ることは可能です。でも私はどうせならミルフォードサウンドのもう一つの楽しみとも言える、ミルフォードサウンドクルーズをやってみたかったのです。
そのためそれを翌日にし、近くに宿をとろうと考えていました。
しかし、ここで事件は起きました。

まさかの

宿が空いてないΣ( ̄ロ ̄lll)

もともとミルフォードサウンドエリアは限られた土地の中で宿泊施設が多くはありません。しかもトランピングハイシーズンであり出発2週間前。なんとかなるだろうとニュージーランドタイムでいたら、泊まるところがなくなってしまったのです・・
どうしようかと悩んで当時の宿主タカさんに相談すると、一言。
「そんなもんダメ元で電話してみぃ。ここはニュージーランドや。床でもなんでもいいから泊めてもらえばいい。床だったらマット用意してくれるか聞いてみるよし!」
ええぇぇぇ~~~( ̄▽ ̄;)
でもまぁ、一理あるか・・・と思ってダメ元でメールをしてみる。

それから少したって返信が!!!

”Good news! We can give you a few dorms available! "
(朗報です!ご予約できるドミトリーがご用意できました!)

・・・すげぇタカさん。聞いてみるもんだねぇ(゚д゚)!
ということで、ミルフォードサウンドの宿なんとかゲット!これを教訓に、私の「ダメ元でやってみる精神」が身についていったのでした(笑)

私が泊まった宿はこちら。Milford sound lodge

https://www.milfordlodge.com/

ミルフォードサウンドクルーズの予約

 ミルフォードサウンドのハイライトでもあるミルフォードサウンドクルーズ。これまで何日もかけて陸から見てきたミルフォードサウンドエリアを、今度は船から楽しめるってわけです♪最終日にこのクルーズをプランに入れる人も多いそう。ガイドウォークにはこのクルーズがもともとついていたりもするそうです。
いろんなコースがあってよくわからない…と迷っていたらまたタカさん、すぐそこにサザンディスカバリーがあるから行って聞いてみたらどうや?
それもそうか。
ということでクイーンズタウンにあるSouthern Discoveries へ。
行くと中華系の女の子が説明してくれ、アザラシやペンギンの近くまで行って写真が撮れたり滝の真下まで行ったりしてより楽しめるということで、一番所要時間の長い"Encounter Nature Cruise" を予約することに。「帰ってきたらぜひまた話を聞かせてね!」なんて楽しい会話をひとしきりして、すっかり気分はミルフォードモードに♪

www.southerndiscoveries.co.nz

荷物の用意

 これは日ごろからトランピングをしていたのでゼロからというわけではないのですが、3泊4日ともなると事情は変わってきます。
普段の装備に加えて特に用意したのが、食べ物とサンドフライ対策。
ゴミは当然持ち帰りで、なるべく軽い物がいい。ということでクイーンズタウンのアウトドアショップに行ってみると、必ずどこのお店でも置いているのが、これ。f:id:trampinglife:20200604174747j:plain

 こちらはBack Country Cuisinという商品で、フリーズドライにされた調理済みの食料。アウトドア大国のニュージーランドでは、各地のアウトドアショップではもちろん、スーパーにも必ずといっていいほどたくさん置いてあります。お湯を注いで数分待つだけなので、ピクニックやキャンプ、長期のトランピングにも最適です。フリーズドライなので軽く、使用済みのものは小さくまとまるのもポイントです。特筆すべきはその種類の多さ。カレーやタイ料理、リゾット、照り焼きチキンなどの和風テイストまで本当に幅広い!量も一人前から二人前など様々あり、スタンダードからちょっと高級テイストなものまで幅広く取り揃えられています。ひとつ1000円前後しますが、手軽さや質の良さを考えるとこれがニュージーランドではベストでした。

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他に用意した食料です。おいしくて、腹持ちが良くて、高カロリーでゴミが少ないものを選びました。ニュージーランドのスーパーにはシリアルバーみたいなのがとても種類豊富においてあります。フルーツ系やチョコレート系など様々。これもアウトドアが盛んな国ならではでしょう。行動食にはナッツが良かったです。この他にりんごやきゅうり、サラミも少々。ニュージーランドではりんごやきゅうりを丸かじりしてる旅人が多かったので、私もいつのまにかそうしていました( ̄▽ ̄;)

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ニュージーランドにはサンドフライという蚊にような虫が非常に多く、特にこのミルフォードトラックのような水辺の多いところには、目にはっきりと見えるほどサンドフライが集団でいます。気づいたら刺されてた、というレベルではありません(゚Д゚;)めちゃくちゃいるから、そりゃぁ刺されるわって感じです。なのでニュージーランドにはこのサンドフライ対策の薬が種類豊富に販売されています。
虫よけスプレーとして私が常用していたのは上の写真の薬。ハーブ入りで肌に優しいということで毎日のように使っていました。(それでも刺されますけどっ)

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刺されたときの塗り薬はこれ。薬局でよく効くと勧められたので買いました。これは年中、本当によく使いました。日本の蚊よりサンドフライに刺されると痒みが強烈で腫れやすいので、ミルフォードに行くときは特に注意が必要です。

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それから私は本当に、本当に刺されやすいので、念のため日本で購入して行ったシートゥーサミットの顔用の虫よけネット。極細の網で出来ているので虫が中に入ってくるのを防げます。これ、私は山小屋で寝るときかぶって眠っていました(笑)。かなりおかしな光景になるのですが、本当にめちゃくちゃサンドフライがいるので、これなしでは寝られませんでした…( ̄▽ ̄;)

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ネットはこんな感じ。首元で絞れるようになっているので、けっこう防げます。
本当にシャレにならないくらいサンドフライがいるので、山小屋のドアなんかには"KEEP SANDFLIES OUT!!"(サンドフライを中に入れるな!)という文言が貼ってあったり。塊でいますので、本当に(;'∀')

他には山用ウェアや帽子、サングラス、レインウェアなどの衣類、寝袋やシーツなどの寝具、最低限の調理器具、水を入れる水筒、タオルや体を拭くシート。
火を起こすためのもの(私はマッチを)やヘッドライト、食器類を洗うためのスポンジやふきんなども必要です。
個人的にあって良かったのが、山小屋内で履く軽いサンダル。山小屋についてトレッキングシューズでいるのは辛いですし、シャワーをあびられない代わりに体を拭いたりした後にサンダルを履けると気持ちいいです。
雨がよく降る所なので、ザックカバーやパックライナー(ザック内に入れる水除けシート)もあると安心です。私はタカさんの勧めで巨大なゴミ袋をザックの中に入れていきました(笑)。でもこれが意外と良くて、一日中雨に濡れた日も、ザックの中は無事でした。

こんな準備を終えて、いよいよ、待ちに待ったミルフォードトラックへ出発します!どんな冒険が待っていることやら・・・♪

 

本日も お読みいただきありがとうございました(*- -)(*_ _)